それどんな話?

備忘録。

忘れられた花園(ケイト・モートン)

この物語には、三人の主人公がいる。

ネル。オーストラリアにて何不自由なく育った彼女はある日、父親から衝撃の事実を告げられる。自分はたった一人で港に置き去りにされた少女だったのだと。何も語らない彼女が手にしていたのは小さなトランクと一冊のおとぎ話の本だけ。

カサンドラ。ネルの孫娘。亡くなった祖母がイギリスのコーンウォールにあるコテージを遺してくれた事実に驚き、なぜネルがそのコテージを買い取ったのか調べるためにイギリスへ向かう。

イライザ。唯一の家族であった弟を事故で失い天涯孤独の身となった貧しい少女。突然攫われるようにして立派なお屋敷に連れてこられたイライザはその日からそのブラックハースト荘で暮らすよう命じられる。留守がちで何を考えてるかわからないマウンチェット氏(イライザの伯父にあたる)、イライザの存在に我慢がならない婦人、そして病弱な娘ローズ。イライザとローズはやがて唯一無二の親友となるも、その蜜月は長くは続かなかった。

 

特に後半は探偵役としてのカサンドラが主役と感じられるものの、全体的な読後感としては三人のそれぞれの物語はほぼ均等な重みを持っているように感じられた。どれも欠けてはならない三つ編みのような構成をもって物語は完成する。ミステリアスであまりにも哀しくて、でも心に光を射す物語。

3つの時代を行き来してるにもかかわらず登場人物は少なめで混乱もなく一気に物語の世界に浸れたのもよかった。

二日で読了。

 

 

忘れられた花園 下

忘れられた花園 下

 
忘れられた花園 上

忘れられた花園 上